こちら松江DCP。ただいま拡張工事中(第3回)

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IIJのコンテナ型DC「松江データセンターパーク(松江DCP)」拡張工事の様子をお伝えするこのシリーズ。
こんにちは。現地レポーターの三村です。

今回がついにシリーズ最終回。拡張工事完成までと竣工式の模様をご報告します。

街路樹まずは恒例の近況報告です。
11月に入ると秋も深まり、山の木々も色づき出しました。松江DCPに隣接する道路の街路樹も葉が赤く染まり、風に舞っていました。
松江DCPの周囲は自然が豊かで木々も多いのですが、敷地内にはどんぐりも落ちていました。

空調モジュールこの時期になると、いよいよITモジュールの外気運転も本格的になります。
また、外気がある温度より下回ると、IT機器の排熱を利用した混合運転や循環運転も実施されるようになります(これら制御はすべてASHRAE 2008に適合するように設計されています)。

ハウジングルームが出現

これまでの記事ではあまり触れられていなかったのですが、今回の拡張工事によって松江DCPには新たにハウジングルームが誕生しました。

ハウジングルームハウジングルームにはEIAJ規格準拠の19インチフルラック(46U)の他、ハーフサイズの1/2ラック(22U)や1/4ラック(10U)も設置され、お客様のニーズに合ったラックが選択できるようになっています。
また、基礎工事の模様をお伝えした際にも触れましたが、今回完成したハウジングルームについても、地震リスクを示すPMLが1.2%と極めて低い値である地盤上に構築されています。

その他の主な仕様としては、

  1. 耐震構造(耐震性能II類)
  2. 各所で冗長化された電気・空調設備
    • 受電経路(異変電所からの本線、予備線2回線受電)
    • UPS(N+1構成)
    • 非常用発電機(フル負荷で24時間以上運転可能)
    • 空調機器(N+1構成)
  3. 超高感度煙探知機及び窒素ガス消火

が挙げられます(詳細はプレスリリースをご覧ください)。

ITモジュールがやってきた!

11月某日。この日はITモジュールが拡張スペースにやってくる日です。
ITモジュールはトレーラーに載せられ、先導車、後方車に挟まれる形で到着しました(その様子はまるで新幹線の輸送のような光景でした)。

夜間に到着したITモジュール(3モジュール)は、翌朝、順次トレーラーから専用のステージに降ろされました。特にこの日は夜明けとともに作業が開始されたのですが、霧が深く幻想的な景色でした。

霧の中、入場するITモジュール

霧の中、入場するITモジュール

中央通路を移動するITモジュールステージに降ろされたITモジュールは、中央通路を水平移動して所定の設置位置へと運ばれます。もちろんITモジュールにはタイヤの類はないので、そのままでは動かすことができません。
そこで、チルローラーと呼ばれる専用の台車の上にITモジュールを載せ、水平に移動させます。ちなみに、チルローラーに載せられたITモジュールは、人力で動かすこともできます(実際、設置位置の微調整を行う際や電動駆動のチルローラーが使用できない天候の時には人力で動かしています)。

中央通路を移動するITモジュール(右がチルローラー)

中央通路を移動するITモジュール(右がチルローラー)

空調モジュールもやってきた!

ITモジュールに引き続き、空調モジュールも到着しました。
空調モジュールは、2重に張られたフェンスの外からラフターさん(四輪駆動・四輪操舵機構を装備したクレーン)に吊り上げられ、所定の位置にダイレクトに据え付けられました。

駐車場で待機する空調モジュール

駐車場で待機する空調モジュール

空調モジュールは、本体設置後各モジュール間を接続するダクトの工事が行われました。各モジュールをダクトで接続するのは、空調モジュールの冗長化のためです。

ダクト工事中の空調モジュール

ダクト工事中の空調モジュール


設置後の空調モジュール

設置後の空調モジュール

高所作業車、登場

高所作業車(スカイマスター)10月某日、落雷対策設備の工事のために、高所作業車(スカイマスター)が現場に用意されました。スカイマスターくんは、看板や街路灯の取付工事など高所で作業を行う際に、作業をする人を最大27mの高さまで運ぶことができます。
最大積載荷重は200kgで、(標準体形の)大人2名と必要な工具類を持ち上げる能力があります。
なお、スカイマスターくんを操る(スカイマスターになる)には、高所作業車運転技能講習を修了する必要があります(公道走行には別途限定中型自動車免許が必要です)。

せっかくですので、スカイマスターの高度限界付近(約27m)から撮影した写真をご覧ください。

高所作業車(スカイマスター)からの眺め

高所作業車(スカイマスター)からの眺め

引渡し前試験

建物及び各設備の設置、工事が完了するといよいよ試験(動作確認)が実施されます。試験は各設備ごとに行い、最終的に全設備を連係した状態(実運用状態と同様の環境)で行われました。
特にデータセンターの命の源とも言える「電気」については、入念に試験が実施されました。
その中から、非常用発電機負荷試験と総合停復電試験についてご紹介します。

(1) 非常用発電機負荷試験

非常用発電機負荷試験は非常用発電機の性能が、仕様を満たしているかを確認するために行う試験です。具体的には実際に非常用発電機を稼働させ、正しく動作(発電)しているかを確認します。
余談ですが、各設備の試験は工場出荷前にも行われています(必要に応じてIIJのスタッフ及び施工業者も工場まで出向き立ち会いを実施しています)。

ここでひとつの問題が発生します。
当たり前ですが、この試験を行うには負荷となる電力が必要になります(非常用発電機で発電した電力をどこかで使う必要があるということです)。
しかし、完成前の拡張エリアにはまだ負荷となる電力を使用するITモジュールや空調モジュールはありません。これでは負荷試験ができません。

そこで、負荷となる電力を模擬的に発生させることができる専用装置を搭載したトラックが、遠路はるばる九州からやってきました(この装置が搭載されたトラックは国内に数台しかないそうです)。
非常用発電機で発電された電力は、専用のケーブルで接続された負荷装置に送られ、無事に試験を実施することができました。

非常用発電機の負荷試験の様子

非常用発電機の負荷試験の様子

(2) 総合停復電試験

総合停復電試験では、受電設備、UPS、非常用発電機、中央監視装置等すべての電気設備が、停電等の異常発生時に正しく連係し動作するかを確認します。電気設備担当者が、最も緊張する試験と言ってもよいかと思います。
各設備単体では正常に動作していても、総合的に動作させると思わぬ挙動をする場合があるので、この試験は非常に重要です。

予め試験手順を綿密に、網羅的に定め、各設備に要員を配置し、トランシーバーで連絡を取りながら試験を進めていきます。現場は緊張感に包まれ、手順が1つ進むごとに、トランシーバーから「手順○番、これより実施します!3,2,1。。。」「こちら非常用発電機、起動しました!所要時間○秒!想定通りの挙動です!」など、鋭い声が飛び交います。

また試験は、想定通りにシステムが動作するかを確認することはもちろんのこと、想定通りに動作しなかった場合の訓練も併せて実施しています。
自動シーケンスに異常があった場合の手動での操作も、実運用を踏まえた形で行い、経験を積みました。

工事完了

今年4月の起工式の後、着々と工事は進み、敷地の景色は一変しました。
ITモジュールが移動する中央通路、UPSなどが収められる建物ができ、巨大な非常用発電機が設置されています。
また、敷地の外周にはフェンスが張り巡らされ、防犯カメラを始めとする各種防犯・防災システムが設置され、データセンターとして相応しい堅牢性を備えるに至りました。

中央通路とITモジュール

中央通路とITモジュール

空調モジュールとITモジュール

空調モジュールとITモジュール

非常用発電機と高圧キュービクル

非常用発電機と高圧キュービクル

建物の外観と監視カメラ

建物の外観と監視カメラ

UPS室扉建物の内部も見てみましょう。
ここは関係者以外立ち入り禁止のUPS室です。
極秘事項が多々ありお伝えできる内容が限られてしまうのが残念ですが、従来の設備より進化しており、ITモジュールへ三相4線方式で給電することにより、変圧回数を減らし配電ロスの低減を実現しています。

竣工式

竣工式の様子11月12日。竣工式。
会場はITモジュールの動線となる中央通路。
晴天とはなりませんでしたが懸念された大雨にはならず、雲の合間から日差しが差しこむような天気となりました。

竣工式の様子

竣工式の後は内覧会が行われ、ご来賓の皆様に最新の設備をご覧いただき、無事松江DCPの拡張工事は完了いたしました。

3回に渡ってお届けしてきた「こちら松江DCP。ただいま拡張工事中」も、これにておしまいとなります。
このシリーズを通じて、データセンターという特殊な施設(の中でも先進的な取り組みを行っているモジュール型データセンター)に少しでも興味を持っていただけたのであれば幸いです。

拡張工事としては一段落ついた松江DCPですが、新たにできたスペースにITモジュールや空調モジュールが随時追加される予定です。
松江DCPは常に拡張、進化しているデータセンターとして、これからもモジュール型データセンターのトップランナーであり続けます。

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(データセンターサービス部 三村)

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