すぐに手をうつべきクラウドを使った災害対策(その5:有事広報)

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これまでの記事では、コミュニケーションツール等情報インフラ基盤について、クラウドサービスを用いた簡単で、従来の自前での設備敷設よりも低コストなバックアップシステム構築についてふれてきました。

今回は全く違う観点で、有事の際に情報を継続的に外部に対して公開していくための有事広報に関するシステムについて述べます。と、いいましても現実的に通常の企業で行える有事広報のツールとしてはWebが一般的かと思います。

Webサーバのバックアップシステムに関しては議論がいくつかあります。

  1. (1) ホスティングサービスか?クラウドサービスか?
  2. (2) コンテンツ更新の経路はインターネット側からか?閉域網側からか?
  3. (3) DNSの扱いをどうするか?

(1)ホスティングサービスか?クラウドサービスか?

情報公開用のWebサーバは現状でも自前で設備を持つことは少なくなっており、クラウドサービスやホスティングサービスを使うことが一般的かと思います。アクセス数がある程度限定される場合にはホスティングサービスで十分でしょう。ただし、今回の震災でも例えば被災地の自治体サイト、計画停電の情報や空気中の放射線の測定情報、水道での放射線の測定情報、被災地の衛星画像など、アクセスが殺到するような場面が多々ありました。そのようなアクセス変動が激しいことが予想される場合に、迅速にリソースを追加・削除・アップグレード・ダウングレードするにはクラウドサービスの方が向いているでしょう。

また、数Gbpsのトラフィックをさばく場合には、通常のWebサーバをロードバランサー配下で並べるだけでなく、IIJが誇るIIJ大規模コンテンツ配信サービス(コンテンツデリバリサービス)を併用すると効果的です(下図参照:お客様設備の部分はIIJ GIOでも他社のクラウドサービスでもOKです)。
IIJ大規模コンテンツ配信サービス(Webキャッシュの概略図)

(2)コンテンツ更新の経路はインターネット側からか?閉域網側からか?

インターネット経由のコンテンツ更新だけでよいWebサイト構築であれば、IIJ GIOホスティングパッケージサービスの「Webプラン」、「ロードバランシングWebプラン」、動的なサイト構築を可能にする「LAMP Webプラン」、携帯向けのページを自動変換する「モバイルWebプラン」の4つのプランを用意しています。通常時は最低限のグレード(品目)であるV10のサーバを使い、有事の際にはV40やV80、V160といった上位スペックの仮想サーバにグレードアップすれば相応のトラフィックをさばくことが可能になります。
(下図はLAMP Webプランの構成図)
IIJ GIOホスティングパッケージ LAMP Webプラン構成図

一方で、既存のWebサイトのコンテンツ更新に自社内でCMS(コンテンツ管理システム)を導入している企業も多いでしょう。自社内のCMSからクラウドサービス上のWebサーバに対してコンテンツ更新をする場合には、閉域網接続が可能なクラウドサービスが必要です。このような場合にはIIJ GIOコンポーネントサービスをご利用ください。

(3)DNSの扱いをどうするか?

最後に、DNSによる名前解決に関しての考慮が必要です。本番サイトに障害があった場合にバックアップサイトに自動的に切り替える仕掛けとしては、「IIJ広域負荷分散サービス」があります。このサービスを利用すれば、Webの管理者は災害時に何の操作もすることなく自動的にWebサイトがバックアップサイト側に切り替わります。
一方で、費用をかけずに実現したいという場合には、災害時にDNSの設定変更が必要になります。バックアップサイト側のIPアドレスを新規登録するか、元々登録しておいてDNSラウンドロビンで本番・バックアップサイトの双方をアクティブ – アクティブ状態で運用しておき、災害時に本番サイト側のIPアドレスを削除するかの対応が必要になります。いずれにしても、ユーザーが参照するDNS情報を素早く書きかえるためにはTTLを短くしておく必要がありますのでご注意ください。

IIJ広域負荷分散サービスを用いた通常時のアクセス
IIJ広域負荷分散サービス 通常時のアクセス経路

IIJ広域負荷分散サービスを用いた本番サイト障害時のアクセス
IIJ広域負荷分散サービス 本番サイト障害時のアクセス

下図はIIJ広域負荷分散サービスの管理画面です。
IIJ広域負荷分散サービス 管理画面

お知らせ:
IIJ広域負荷分散サービスは、2015年3月16日をもって新規お申し込みの受付を終了いたしました。後継サービスとして「DNSアウトソースサービス サイトフェイルオーバーオプション」を提供しております。ぜひお気軽にお問い合わせください。

さて、有事広報にはバックアップシステムの他にも、運用上検討しなければいけないことがあります。

  • どのタイミングでコンテンツを更新するのか?
  • 有事の際に誰がどのワークフローでコンテンツを更新するのか?
  • 承認者が出社できない時の代替承認はどうするのか?
  • 自宅等社外からのコンテンツ更新を許可するか?
  • 迅速に情報公開できるように文言のひな型を作っておくこと
  • 次の更新タイミングを宣言すること

このようなルールは事前に決めておく必要がありますので、未定の場合には策定されることをおすすめします。

繰り返しになりますが、IIJ GIOの関西の設備をお客様はご利用可能なため、その利用が今回の東京電力、東北電力管内の電力不足に影響を与えることはありません。これをうまく活用することで災害対策と節電の双方が可能になります。節電については節電対策の記事でふれたいと思います。

(次回に続きます)

文責:IIJ GIOマーケティング部 部長 米国DRII CFCP 小川晋平

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